逃げたってええやん

私の友達の息子(中1)が去年の秋転校した。

理由はスクールバスが彼らの住んでる地区の送迎を取りやめたから。

私の友達は働くシングルマザーなので、送迎バスがないと非常に困る、

ということで、その通告を受けてすぐ、

別の地区の学校で、送迎バスがあるところを探した。

かなり離れた、この辺りでは高級住宅地にある中学校が

送迎バス付きで彼を受け入れてくれることが決まった。

学校が始まって、しばらくすると彼は学校に行くのを渋りだした。

彼女は何とか言いくるめて学校に送り出していたが、

テストの点数が下がり、ますます学校に行き渋る彼を見て

おかしいと思い問いただすと、

どうやら学校でいじめられてるらしいことが判明した。

理由は2つ。

白人じゃないから、と、お父さんがいないから、だった。

彼が当時通ってた学校はこの辺りでは珍しい高級住宅地で、

その学校は白人が生徒数が90%近くという学校だった。




彼女は悩みに悩んだ末、その学年を終えるのを待たず

息子を別の学校に転校させた。

そして彼は今新しい学校で友達も出来、毎日楽しく学校に行っているらしい。



彼女のお母さんは、その選択は間違ってたと言ったらしい。

何か嫌なことがあれば逃げればいいと、そういう思考回路を子供に植え付けるから、と。

でも私は彼女の選択は間違ってなかったと思う。



私は中学時代2年間程、いじめにあってた。

辛くて、逃げたかった。

死にたい、というよりはただ逃げたかった。

ただ消えてしまいたかった。

そんな勇気はなかったし、

私はそれと同じ位親を悲しませたくなかったし、

自分がいじめられているという事実を

誰にも知られたくなかったから

そこに留まって、

ただそれが過ぎ去ってくれることを祈り続けた。



泣けばよかったんかもしれん。

謝ればよかったんかもしれん。

でも私にはそれができんかった。



一度学校のそばの公園で10人がかりくらいでぼこぼこにされてたとき

学校の先生が側を通り、私と目が合った瞬間、目をそらして

学校と反対側に小走りで去って行ったときは、

誰も助けてはくれへんねや、とも思った。



大人になってから、同じようにいじめを経験した友達が出来た。

彼女はその結果登校拒否を選んだ。

結果高校にも進学できなかった。

でも大人になって、アメリカの大学に自分で留学することを決め

そして卒業して日本に帰って行った。



これを人は逃げと呼ぶかもしれない。

でも私はそれでもいいと思う。



例えばいじめに耐え切れず自殺してしまう子がいる。

学校に行くことが、いじめられてることが死ぬほど辛いなら

そんなところ行かなくていいよ、って私は思う。

だって死んでしまったらそれで終わりやん。



学校にいてる間は学校が世界の全てみたいに思う部分ってあるやん?

特に子供であればあるほど。

でもほんまの世界はもっと広くて、

永遠に続くように思えるいじめだって、

学校という枠を出てしまえばそれで終わる。



でも自殺してしまったら、それで終わりやねんで。

遺書にいじめた人の名前書いたって、

そりゃ少しは反省したり悪かったな、って思ったりしても、

一生じゃないねんで。

家族泣くで。



だから逃げたっていいねん。



私は自分がええかっこしいやったから逃げられへんかっただけ。



心ん中でよーさん人殺ししたけど(暗いよな、これ(笑))



今はこうして笑って話せるし、

すごい辛かったことの詳細って、

意識的か無意識かはわからんけど、

自分でもふたをしてしまってる部分があって、

もやがかかったみたいに、はっきり思い出されへんことがいっぱいあって、

でもそれでいいんや、って思う。

だからこうやって笑ってあのころのこと話せるし、

生きていけるんやし。



親なり友達なり、泣きついていける相手がいるって

すごいことやと思う。

それを支えてあげるのは大変な仕事やけど。



子供が発するシグナルに気付いてあげれるかどうかも

親にとってはすごい大切なことやと思う。



でも思う。

もし自分に子供が出来て、私みたいな子やったら…

親にそんなん知られる位やったら死にたい、とか思ってたら。

どこまで騙されてあげるべきなんか。

どこから助けの手を出してあげるべきなんか。

子供のいじめに親が関与して悪化することも沢山ある。

どんな風に関わっていくのか、何をしてあげられるか。





最後にもう一回言うね。

逃げたってええねん。

逃げるが勝ちとも言うねんから!